fc2ブログ

球美主義-キュビズム-

【球美主義】(キュビズム) 丸を用いて事象を表現し、またその行為により快楽を得ようとする事。二十一世紀初頭工藤慈子によって創始され、当人一人で続けている美術の小さな動向。

いつまでも新しく生まれる


母はとてつもなく沢山趣味を持っていた。
色んなことに興味を持って、一所懸命勉強し、沢山本を読み、習いに行き、
キットを買ったり本格的な道具を買ったり、とにかく何かをやっていた。

ちょっと思い出しただけでも
読書、編み物、ママさんバレー、鎌倉彫り、卵殻、塗装、布草鞋作り、
指編み、キルトポーチ作り、紙紐で編む籠、フラワーアレンジメント…

読書は、趣味というより活字中毒で、
小説は勿論のこと、生物、歴史、浦沢直樹、苦手だわからないといいながら数学や物理等々、
読んでいたジャンルは多岐に渡る。

塗装にいたっては、確か60過ぎてから、
職業訓練校に通って若い人達に混ざって本格的に勉強していた。

フラワーアレンジメントは人の良さが災いして、
変な先生に代役を頼まれ、断り切れず、
冬の秋田の雪道を何時間も往復して教室で教えたりもしていた。
怖い辞めたいと、半泣きで電話が来たなぁ。


もとい。

料理やお菓子作りにもいろいろチャレンジしていた。
父と結婚する前に、土井勝さん(土井善晴さんのお父さん)の料理教室に通ったそうだ。

私たちの子供の頃のおやつは母の手作りが多かった。
パウンドケーキ、マドレーヌ、タルト、オムレット(私のバナナ嫌いのせいで中味はいちご)、
生クリームといちごのケーキ、クッキー、ゼリー、ババロア…etc…

納得するまで同じものを作ったので、
子供の頃の私が「またパウンドケーキ!?」と
文句を言いながら食べてた、といつまでも言われたものだった。

妹夫婦の結婚式に来てくれた友人たちにも、
母の手作りのタルトをそれこそ何十枚も焼いて振舞ったのはすごかった。

そういえば、私の個展の時もケーキ焼いてくれたな。
こうして書いてみると、よく頑張ったなぁお母さん。



色々な事に手を広げてその都度一所懸命やる母だったけれど、
唯一絵だけは「描けない」と言って頑として描かなかった。苦手なんだって。
子供の頃は母の兄が描いた絵を夏休みの宿題で出してた、とちょっと誇らしげにに言っていた。

そのせいか、私の描くものや作るものを見るたび、いつも「すごいすごい」褒めてくれた。
私は甘ったれたバカたれなので「親の慾目だ」などと憎まれ口を叩いていたけれど。

どんな変な絵でも大抵褒めて、悩む私に母から見た感想などを言ってくれたりしていたけれど、
唯一妙に平板な顔をして「私はこういうものはわからん」と言ったのは、抽象的なものだった。

「風景や人、物を描くのはわかる。デフォルメされていてもわかる。
でも抽象画っていうのはさっぱりわからない。意味が全然わからない。」
といつも褒めてくれるはずの母に言われて、
「お母さんがわかんないもの描いてもなぁ」
としばらく抽象的な、模様のようなものを描くのはなんとなく止めていた。


けれど、出て来るんだよね、こういうのが一番。


今見たら、なんて言うのかな。
と相変わらず甘ったれたバカたれは思っている。


先日、母の誕生日だった。元気だったら72歳。わがままで嫌なババアだったらもっと長生きしたんだろうか。
3年半で、母の不在には慣れたけど、ただ、いないというだけ。



「いつまでも新しく生まれる」

ポストカードに描いては繋げ、描いては繋げを繰り返し、
縦5枚、横19列になったところでいったん終了。

大きさ 縦740mm×横1900mm

2018年8月現在の全部 1-19列

画像をクリックすると大きく見られます
いつまでも新しく生まれる
スポンサーサイト



短歌と俳句の五十番勝負

皆さんお元気ですか。
新年度が始まって1カ月立とうとしています。
よく眠れていますか。
私はと言えば…

最近は、あまり夢を見ない。
夢を見る時間も惜しんで眠っている。
たまに見たような気がするときもあるけれど、ほとんど覚えていない。
覚える事がありすぎて、夢まで覚えていられない。

違う意味での夢というのは、私にもそれなりにある。
希望と呼べるようなものや、願いと置き換えられるもの、日常的でささやかなもの、
欲望と言うべきどす黒い物まで、ありとあらゆる夢がまぁまぁある。

どす黒い夢の一つは、歩きスマホや満員電車内でのスマホ操作で私に迷惑をかける奴らのスマホ全部壊れろ、
落とせ、画面割れろ、というものです。あ、違った。これは呪いか。
なんてことを考えながらスマホにメモしつつ出勤していた今朝、
スマホ画面に気を取られ過ぎて電車に乗り間違えて遅刻したのはここだけの話。
…私のスマホは壊れませんように…


もとい。

目下、そしてここしばらくの身近な夢の一つは、仕事中に襲われる睡魔に抗わずバタリと眠ることです。
机に突っ伏す、そっと目を瞑る、のではなく、バタンと倒れて惰眠を烈しく貪りたい。
ヨダレを垂らしたってイビキをかいたって構わない。倒れた床が汚れていたっていい。
起き上った時身体中が痣だらけになろうが仕方ない。

だって眠たいのです。眠くて眠くてたまらないのです。
仕事中に訪れる引き摺られるような睡魔は何なのだろうか。
あの睡魔に誘われて眠り込んだその先には、至高の睡眠時間が待っているに違いない。
そこに待つのが浅い眠りなんて考えられない。そうだそうに決まっている。ああ、仕事中に爆睡したい。

が、しかし、私は組織で働いているのでこの夢を叶えることが出来ない。
上司同僚のみならず、不特定多数の人が来る職場で、むやみに衆目を集めることなどできない。
いや、もちろん見られていなくても誰も来なくても出来ないのだけれども。

この夢が叶う時は、次からの契約がなくなる日でもあることは目に見えている。
ただでさえ、人より沢山食べているのに、霞だけでは生きていけない。
夢を諦めて、日々働くしかない。


と、この大きくもささやかな夢を諦めて、毎日労働に勤しむ私ですが、最近かなった夢が二つあります。前置きが長い。


ひとつは、本の装画を担当したこと。

ひとつは、私のその作品が箔押しされたこと。

短歌と俳句の五十番勝負帯実物
短歌と俳句の五十番勝負実物
短歌と俳句の五十番勝負背表紙 (画像をクリックすると大きく見られます)

装画と箔押し。
一気に二つも叶ってしまった。
お話をいただいた時既に色も箔押しすることも決まっていたのですが、
「え、ええんですか?」と内なる関西人が動揺しました。関西に血縁はないはず。

見本が届いて真っ先にページをめくり「装画 工藤慈子」を確認しました。
「俺やで」と小鼻を膨らませた内なる原西が親指を立てます。原西のギャグは他に知らない。

「素敵やん」と我が憧れの冠さん(THE冠)が脳内でめっちゃ笑顔です。妄想です。

なぜ、このタイミングで内なる関西の血が騒ぐのか。私にもわからん。

が、とにかくうれしいという事をお伝えしたい。お伝えしたい割には前置きが長すぎる。(不器用なんだ)

地味に好きな事しかやって来なかったのに、長くやってくるといいことあるんだね。


明日発売日です。
さぁみんな、本屋さんへGO!
ピカピカしているのですぐ見つけられるよ!!

‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
「短歌と俳句の五十番勝負」
穂村弘×堀本裕樹
新潮社
2018.4.26発売
定価:1,600円

‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐

デザインは、新潮社装幀部 内山尚孝さんです。
お声掛けいただき、面白い仕事をさせていただき、本当にありがとうございました。
短歌・俳句なんて縁が無い、と思われている方にも読みやすい本です。現に私がそうです。

もっと色々描きたいけれど、いちいち長すぎるので、今日はこの辺で。

中表紙
短歌と俳句の五十番勝負中表紙
カバーを広げた状態
短歌と俳句の五十番勝負帯あり


短歌と俳句の五十番勝負帯なし

明日からBlack&White part1

明日から、グループ展が始まります。



Black&White part1
2/20(火)~25(日)
12:00~19:00
最終日17:00まで

明日2/20にはオープニングパーティもあります。
18:00~20:00

私は早くて18:30頃、遅くても19:00位には行きたいと…行けたらいいなと思っています。行けなかったらすみません。

また、展示中は土日には在廊いたします。平日は行けないのです…。
せっかくの展示なのにすみません。


さておき、何はともあれ展示です。
色は黒と白のみですが、今回もまた、バラエティー豊かな面々が集まりました。


私は、不思議の国のアリスを球美主義で表しました。

不思議の国のアリスは、読めば読むほどキャラクターの宝庫。

出てくる動物や人物や物どもを、全部描いたら確実に個展ができるし、描いたらしたい。
あぁ個展したい。(独り言)

個展するにはまだまだの点数ですが、人と一緒に展示するグループ展というのに、周りの迷惑省みず、私、12点描きました。
キャラクター描きました。
久しぶりに人や動物を描いたらとても楽しかったです。
(思い返せばここ数年、模倣図以外は文字を切ったり、抽象描いたりばかりでした…いんだけど。)

私なりの、直球アリス。
どうかお楽しみくださいませ!


そして、part1があるということは、もちろんpart2もあります。
翌週はまたメンバーを変えて、Black&White part2が始まります。

週を跨いでハシゴするのもまた一興。

ハシゴするならまずはpart1を見なくちゃね。

新しい手ぬぐい、ポストカードや祝儀袋のグッズも充実しております。外苑前のお土産にどうぞー!

というわけで、皆さま、明日から6日間よろしくお願いいたします☺

  

テーマ:展示会、イベントの情報 - ジャンル:学問・文化・芸術

Black&White part1

皆様お元気ですか。
まもなく2月ですね。

1月初めの、いろはCarta展にお越し頂いた方々、ありがとうございました。
お礼状も出さないままに、次の展示のお知らせです。すみません。

毎年恒例のグループ展に参加いたします。

‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
B&W DM


Black&White part1 @GalleryDAZZLE
2018.2.20(火)-25(日)
12:00-19:00(最終日は17:00まで)
Opening Party 初日18時~20時
石田正明
楯川友佳子
谷口綾
峯岸圭
工藤慈子
http://gallery-dazzle.com

‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐

今年初めの、いろはCarta展(@GalleryDAZZLE)の時にもチラと触れましたが、
今回の個人的展示テーマは「不思議の国のアリス」です。

正直、不思議の国のアリスは読んだ事があるとはいえ、さっぱり興味はありませんでした。
さっぱりよくわからなかったし。

もちろん、他の人が描いたり作ったりしているアリスの世界をどうこう言うのではありません、念のため。

そもそも、アリスってかわいいじゃないですか
(ここだけナイツ塙でお願いします)

私を知る皆さんはご存知のように、私は「かわいい」事など興味がありません。
昨今のかわいいブームはもういい加減にしてくれないかな、と思っていたけど、もうどうでもいいかな。

「かわいいが正義」など、鼻かんだティッシュで包んで捨ててやる!!くらいに思っています…。


無論、猫や子供などをかわいいと思うのはまた別の話。


しかし、チェシャ猫をCartaに選んでしまったので、せっかくだから掘り下げるか…と改めて読んでみたら、
これはお絵描き教本のようですね。

ルイス・キャロルよ、ごめんなさい。

そして、元の挿絵の素晴らしい事よ。

探してみると、色んな人がアリスを描いている。
トーベ・ヤンソンも佐々木マキも描いている。
シュバンクマイエルの絵本など昔衝動買いしてた。
ネットで見たダリのアリスはわざわざ印刷してた。

準備は万端ではないか。
では、その末席にお邪魔させていただきましょう。

というのが、
不思議の国のアリスin球美主義 の発端。

クロウサギ
チェシャ猫 画像をクリックすると大きく見られます。


展示が終わっても沢山ある課題に取り組んで、ライフワークとしたいと思っています。
不思議が終わったら鏡が待っているしね。

沢山の方に見ていただけますように。
どうぞよろしくお願いいたします。

いろはCarta展

なんと、昨年2回しかブログ書いておりませんでした。
筆不精というのか、なんというのか、ひどすぎる。

だれか見ている方はおられますか?
お元気ですか?

妄想は相変わらずしておりますので、今年はもう少しブログを書こうかと思います。
ここは妄想と展示案内の場だった。

ところで、2018明けましたね。

工藤家は、アルプスの少女ハイジの一挙放送を見続けるというお正月でした。
子供の頃毎回見ていたような気がしましたが、
ハイジ、結構覚えていなくて、色々新鮮に面白かったです。
中でも、あの名場面の直前に台所にいた私に
「やす、もうすぐクララが立つよ!」
と律儀に声をかけてくれた父と、
ロッテンマイヤーの横暴にいきり立ち「児童相談所に誰か電話して」と叫ぶ妹夫婦が面白かったです。
血を感じる。
ロッテンマイヤー、ほんとムカつく。


それはさておき。
いろはCarta展@ギャラリーDAZZLE に参加いたします。
1/8㈫‐1/21㈰
12:00~19:00(最終日は17:00まで)
私は13日㈯に在廊予定です。

そして私の言葉は「ち」です。

何か思いついて「ち」を選んだのに、
最初の思いつきをあっという間に忘れて、
そして全く思い出せず、
「ち」から始まる言葉を産む苦しみがまずありましたが、
おかげで2月に参加するグループ展Black&Whiteへ展示する作品へも繋がって、現在もりもり描いております。

というわけで、近づいて来たらまたご案内しますが、
グループ展Black&White@ギャラリーDAZZLE にも参加します。2月です。
どうぞよろしくお願いいたします。

2018Carta展DM

しかし、最初に思いついた言葉は一体何だったんだろうなぁ。
ちなみに当初は、
チッチキチー
チッチッコリ♪ チッコリ♪
の二つしか頭に残らず、
どっちかって言えば「チッチキチー」かと、
こだまひびきin球美主義なんてできるだろうか…と結構真剣に悩んでおりました。

往生しまっせー。

ち
次のページ